VR解像度の真実:4Kでも鮮明に見えない?視野角とPPDに注目しよう

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VRゴーグル、VRヘッドセット(以下「VR」)が日常生活やエンターテイメントでますます普及し、さらにMR(複合現実)への注目が高まっています。特に最近ではAppleのApple Vision Proの発売もあり、VR・MR市場は一層盛り上がりを見せています。

その中でも、VR選びの重要なポイントである「解像度」について、どのように読み取ればよいのかを解説していきます。

一般的な解像度とVRの解像度の違い

一般的なテレビやスマートフォンの解像度の理解をVRにそのまま当てはめると、誤解が生じることがあります。それはなぜなのか、解像度の指標の違いから見ていきましょう。

一般的な解像度(テレビ、スマートフォン)

テレビやスマートフォンで「解像度」というと、「4K」や「フルHD」が浮かびます。

これは画面を構成するピクセルの総数で、例えば4K解像度は横3,840ピクセル、縦2,160ピクセルを意味します。

しかし、ここで注意が必要なのは、この解像度だけでは画面の大きさにより見え方が異なる点です。例えば、同じ4Kでも、スマートフォンと大型テレビではピクセルの見え方が大きく異なります。

解像度表示の問題点とdpi(dots per inch)

それは、画面のサイズを考慮していないことです。画面が小さければ綺麗に見えますが、画面が大きいとピクセルごとの間隔が広がり、荒く見えます。

つまり、「4K」というと綺麗に見えるイメージがありますが、スマートフォンで見る「4K」と映画館サイズの画面で見る「4K」では全く異なるということです。

そのため、比較するためには他の指標を使う必要があります。それがdpi(dots per inch)です。

dpi(dots per inch)とは

dpiとは1インチ(2.54cm)あたりにどれだけピクセルが含まれているかを表す単位です。dpiは1インチ(約2.54cm)あたりのピクセル数を示すもので、画面の密度を表します。この指標を使えば、画面サイズにかかわらず比較でき、ピクセルの細かさがより正確に分かります。

さて、ここまで解像度について説明してきましたが、これがVRにも適用されます。

VRの特徴と解像度

VRの場合、解像度の理解にはもう一つ重要な指標があります。それが「視野角」です。

視野角

VRでは、ディスプレイがどの程度の角度で視界を覆うかを示す「視野角」が重要です。視野角が広いほど、画面がより視界を占め、没入感が向上します。

一般的なVRヘッドセットの視野角は90度から120度ほどで、人間の視界全体(両目で180度以上)にはまだ満たないことが多くあります。

人間の視野角は両目で同時に見る場合は120度、左右の目で見える範囲は180度以上あります。このことから現状のVRヘッドセットでは人間の視野をすべて覆うことはできず、画面が表示されず暗くなってる部分を認識してしまいます。

単眼と両眼の解像度

VRには左右に独立したレンズがあり、各レンズの解像度が異なります。現在では、片目あたり2000×2000ピクセル、両眼で4000×2000(4K)程度の解像度を持つVRが増えています。

VRの解像度を表す新たな指標:PPD(Pixels Per Degree)

さて、今回の本題であるVRの解像度ですが、解像度表示の問題点でいっているとおり、単純に「4K」という表示では問題点があります。映画館よりも大きな画面に見えるためです。

VRの解像度を適切に比較するためには「PPD」(Pixels Per Degree)という指標を用いるのが重要です。これは、視野角1度あたりにどれだけピクセルが含まれているかを示します。PPDは画面サイズに影響されずに比較できるため、VRの解像度評価に適しています。

PPDと人間の視力

人間の視力1.0に相当するPPDは約60とされています。最新の4K対応VRであるMeta Quest3のPPDは25ほどで、まだ肉眼には及びません。

そのため、現状のVRヘッドセットでは、映画館ほど大きな画面に感じる分、まだ「荒く見える」という印象を受けやすいと言えます。

まとめ

VRの解像度を正しく読み取るためには、PPD(Pixels Per Degree)で視野角1度あたりのピクセル密度を確認することが重要です。VR業界では、PPDの向上が求められており、よりクリアな映像体験ができるようになることで、さらなる発展が期待されます。

以下の記事では、代表的なVRヘッドセットの解像度を比較し、最適な選び方をご紹介します。

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